書籍のまとめノート

なぜ順張り投資なのか?投資家の心理を考えたトレード

株を買う際に必ず悩むのが『いつ株を買うのか?』という点。銘柄選定は業績をチェックすることである程度絞ることが出来ますが、それでも買うタイミングを誤るとすぐに含み損を抱えてしまいます。

株は株価が上がっている時に買う順張りと、株価が下がっている時に買う逆張りがあり、僕は基本的に順張りで入るように心がけています。

年単位で保持する長期投資であれば、ある程度タイミングには目を瞑って業績で買っても良いのですが、短期のトレードであればタイミングを見極めるテクニカルの考え方はとても重要です。テクニカルと言うと難しそうな気がしますが、値動きには人間の心理が働くことを理解するだけで、ちょっと身近に感じ取ることが出来ますよ。

この記事でわかること

■ 下落局面での売り圧力の存在がわかる
■ 高値を超えたきた段階でのホルダーの心理がわかる

売り圧力の存在を読み取る

まずは下記のチャートをご覧ください。みなさんはA~Hのどのタイミングで買いを入れたいと思いますか?あなたがAの段階でこの銘柄に興味を持ち、買いのタイミングを図っていると仮定して考えてみてください。

投資初心者はD~Fの下がったタイミングで買いたいと考える人が多いそうです。これだけ下がったのだから明日はあがるだろう、という逆張りの考え方です。株価の翌日の値動きが50:50と考えるのであれば、確かに理にかなっているようにも思えます。

しかしD~Fのタイミングで買いを入れる前に考えなければいけないことがあります。それは既に市場にはA~Cのタイミングで買っている人がいるということです。 株を持っている人がどのような心理でいるのか?という事を考えてみると、確率論だけで値動きを予測する訳にはいかなくなります。

下の表にA~Gのタイミングで株を買った人と、その後のB~Hでの含み益・含み損の状況をまとめてみました。(含み益・含み損を投資家の心理に当てはめて考えるのが大事です。)

Aのタイミングで購入した人は、この取引を通じて常に含み益を確保できています。ただしDEの段階においては含み益が目減りしているため、利益確定したい心理が強くなることでしょう。握力が強ければG、Hの段階で最も大きな利益を得られますが、資金を預けている期間は最も長くなります。

Bのタイミングで購入した人は、一時的に含み益が出たもののその後含み損を抱えてしまいます。Cで売っておけば…と悔いが残ることでしょう。買値であるDの値を下回った時点で損切りする心理が働くことが予想されます。

Cのタイミングで購入した人は更に状況が悪いです。株価の天井で掴んでしまっているため、買い=即含み損の状態。含み損の額も期間も最も多いです。損失を拡大しないためにも、D・Eの段階で損切りしたい心理は最も大きく働くと思われます。

A・B・Cのタイミングで買った人はいずれもD・Eのタイミングで売りたくなる心理が働くのです。このタイミングで買いを入れるということは、売り圧力と真っ向から対立することになります。

下落局面にある銘柄の買いに入ることは、投資家心理を考えると非常にリスクが大きいです。もちろんD・Eのタイミングでの買いは、結果だけみれば底値で掴んでいることになるため、保有し続ければ大きな利益を得られます。高値づかみのリスクを避けようとしているにも関わらず、気づかないうちにハイリスク・ハイリターンのトレードをしていることになるのです。

誰も損していない状況を見極める

対してGの水準まで上がってきた場合を考えてみましょう。Cでつけた高値を超えてくるタイミングです。ここまで株価を戻してくると、ホルダーの中で含み損を抱えている人がいなくなります。焦って株を売りたいと考える人が少なくなっていくのです。

利益確定のために売ろうと考える人もいますが、上がっている銘柄を狙っている順張り投資家もどんどん入ってきます。日本の株式市場の売買の半分は外国人投資家が占めているのですが、彼らの投資手法は基本的に順張り投資です。外国人投資家の資金力・影響力は絶大です。こうなると売り圧力より買いのパワーが圧倒的に凌駕するようになってきます。

買いのタイミングは高値を超えてきたG、もしくはその勢いが確認できたHを狙いましょう。売り圧力 < 買い圧力 となるポイントを見極めます。下記は2150:ケアネットの値動きです。C ➡ Gの新高値を超えてきたところで株価が急上昇しているのがよくわかります。

ここで出来高にも注目してください。株価がヨコヨコで上がりきらないFの時期は出来高も小さいです。取引量の絶対数が少なく、注目している投資家が少ないことが見て取れます。対してGのタイミングまで待っていると、急激に出来高が増加して、株価が急上昇していることがひと目で分かります。

実はこのGの日付(2021年5月19日)に、ケアネットは『中期経営ビジョン』を発表しました。その内容が好感を得て急激に買いが入ったものと思われます。

出来高は値動きの大きさの裏付けと言えます。『出来高=努力』とすると『値動き=結果』です。この出来高と値動きの2つのサインと、C ➡ Gの高値を抜けてきた事実から、『損を抱えている人が少ない & 市場から注目されている状態』を見極めて買いに入るのです。

チャートはアート、数学ではない

チャートを読み取る上で大切なのは、株式投資は科学・数学で全てを説明することはできないということです。株取引は自然現象ではなく、人間が行うものです。そこには人間の心理・欲望・恐怖が入り乱れています。確率論だけで説明できる世界ではないということです。

今日下がったから明日は上がる、確率論的な考え方で株価を予想する指標も存在します。(標準偏差、3σを応用したボリンジャーバンドなど)ただし、確率論だけで取引をするのは危険で、人間の心理を読み解くことで科学的にはありえない値動きも起こり得ると理解することが出来ます。

チャートはアート(芸術)だと言う言葉があります。自然現象では起こり得ない動きをするのが株価チャートです。確率論だけでは語れないのが株式投資の面白さです。物事を俯瞰して見る目を養って、明日のトレードに活かしていきましょう。

まとめノート

参考書籍

今回の記事の作成にあたっては、株の買い時さん著『手堅く稼ぐ!成長株集中投資術』を参考にさせていただきました。本著は投資初心者へのエッセンスがたくさん詰まっています。これから投資を始められるかたには是非オススメしたい一冊です。

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ハリー@投資ノート
株式投資勉強中の30代エンジニア 方眼のノートを駆使して 投資の基礎知識・書籍のまとめを作成しています わかりやすいノートの作り方もアウトプットしていきます